SamVSTomで登場するサムがグリードパワーを宿した姿

グリードパワー

グリードパワーとは、すべてを欲する身勝手な人間にしか宿らない力だといわれている。

トムの横暴により、怒りの頂点に達したサムが土壇場で得た力ではあるものの、なぜ普通の人間であるサムが黄色いオーラを発することができるのかなど、グリードパワーのメカニズムについては分からないことが多い。

グリードパワーについて唯一、分かっていることは、グリードパワーはロストパワーと対となる力ということだ。
そのおかげで、サムはロストボールに被弾しても数回は耐えることができ、反対にロストパワーを宿しているトムに攻撃を与えることができる。

グリードパワーの能力

フックパンチ:サムは中学生のとき、ボクシングにハマったことがあり、そのときに体得した技(ただし、独学)。
とはいえ、グリードパワーのオーラをまとっているおかげで、ロストパワーを宿すトムにもダメージを与えることができる。

グリードパワーに関する言い伝え

サムとトムが暮らす地方では、こんな言い伝えがある。

ある大陸に、4人の王が国を治めていた。
西の王は海の恵み、東の王は森の恵み、南の王は山の恵みを活かし、国の発展させた。
だが、北の王は雪と氷に閉ざされた土地にいたため、他国よりも貧しい生活だった。

「すべてが欲しい……。すべてを手に入れれば、予の渇きを潤すことができるのに……」
そう口にした北の王の前に、いつの間にか白いローブを身にまとった者が立っていた。
その者は王の耳元で、こう囁いた。

「その渇望する欲求を満たすことができる強大な力を授けましょう。ただし、お気をつけください。あなたの中の欲が失われたとき、今まで手に入れた欲に相当する不幸が降り注ぐことになります」

白い使者が煙のように姿を消したあと、北の王は身体の底からみなぎるオーラを宿していた。

それからというもの、北の王は他国への侵攻を繰り返した。
人ならざる力を得た王を前に、他国の兵たちは恐れおののき、まともな戦などできる状態ではなかった。
すべての国から降伏宣言が出されるのに、そう時間はかからなかった。

大陸を手に入れた北の王は、城の兵士たちとともに一日中宴を行った。
ベロベロに酔っぱらった王に対して、大臣は「この調子なら、隣の大陸を手に入れることも夢ではありませんな」と投げかけた。
だが、王は首を横に振った。

「もうよい、予が欲しかったすべてを手に入れたのだ。これ以上、危険を冒す必要もあるまい」
王がそう口にした途端、あたりのロウソクが順番に吹き消されていった。

暗闇に戸惑う兵士たちの声を静めるため、王が自ら明かりを灯した。
すると、王を見た兵士たちが悲鳴をあげた。
屈強だった王は、いつの前にか老人のような弱弱しい身体となっていたのだ。

そのとき、無数の黒い影が部屋に伸びた。
その影が消える頃には、城の中で生きている者は誰もいなくなっていた……。

この言い伝えは、戦争の愚かさを伝えるために作られたおとぎ話として語り継がれている……。