SamVSTomで登場するトムがロストパワーを宿した姿

ロストパワー

ロストパワーとは、すべてを失った人間に宿るといわれる力のことである。

当然ながら、この世界に人ならざる力など存在せず、その手の特殊能力はマンガや映画の中だけの話だ。
しかし、サムの前に再び現れたトムは、確かに人ならざる力を宿していた。
職を失い、物語の冒頭で家まで失くしたトムがロストパワーに選ばれるのは当然といえば当然だった。

ロストパワーの能力

ロストボール:紫色の球体。当たったものを消失させる。

浮遊:ロストパワーの継承者は浮遊することができる。能力によって浮かび上がっているというより、自身の質量を一時的に失うことができるようだ。

ロストパワーに関する言い伝え

サムとトムが住む地方では、こんな言い伝えがある。

戦いに敗れたある一族は、誰も近寄らぬ地に足を踏み入れた。
そこは川が枯れ果て、死んだ木々が立ち並ぶ不毛の地。
ここで生きていくことは、戦いに勝ち続けることよりも難しいのは明らかだった。

死を覚悟した一族の前に、漆黒の者が姿を現した。
「失うことを恐れなき者に、私の力を貸し与えよう」
一族はその者の言葉に従うと、身体が煙のように消えてしまい、あたりには着ていたものだけが残された。

その日の夜、戦で勝利した大国にたくさんの影が現れた。
屈強な戦士たちであっても、得体の知れない影を倒すことはできず、たった一夜にして国は滅んでしまった。

それを知った他の国々は「戦いに敗れた死者たちが渇きを求めて彷徨っているのだ」と言い、供養のために誰も近寄らぬ地に井戸を設置した。
すべてを失わなければ力が使えない一族にとって、この贈り物はどんな武器よりも効果があった。

以来、漆黒の影が人々を脅かすことはなくなった。

この言い伝えは、戦争の愚かさを伝えるために作られたおとぎ話として語り継がれている……。